第25章 不安な夜に寄添う(R18)

母上にどんなに冷たくされ、酷い言葉を投げつけられても、それでも心が壊れないよう、弱さを締め出したんだ。

(だから、聡明で冷清で厳格なのか？)

躾と言う名の折檻、罵られ突き放された。
心のこもらない誉め言葉。抱きしめられた記憶も無い。
幼い子に対して余りに酷い仕打ちだ。

(幼い頃、色々 痛めつけられりゃ、複雑にもなる…)

今までに聞いた瑠璃の話を照合すれば、
悲しいかな、瑠璃の大分が 悲哀や辛み痛みで出来ているのだとまた少し分かった。


泣いても手を差し出しても振り払われた。
だったら差し出さない。
1人で強くなる。
反抗と抵抗。
母上に傷つけられ、弱い自分を隠す為、強くあろうとした。

それが今の瑠璃。

(いつか、その記憶、解放して自由にしてやる)

明日は瑠璃の射駆けの練習が上手くいけばいい、と思いながら政宗も目を閉じた。