第25章 不安な夜に寄添う(R18)
射駆けの練習で疲れているうえに、政宗に喘がされた瑠璃は、情事が終わって抱きしめられている間に、ウツウツと眠りに落ちていった。
穏やかな様子で眠っている瑠璃を見ながら、政宗は考えていた。
(安穏として秀麗なだけで、なんの悩みも無さそうな、か弱い女に見えるのにな…)
最初、瑠璃の氏(苗字)を聞き出し、瑠璃の正体を知った時、家全体がコイツを作ったのだと思った。
礼儀作法や教養、言葉を操る頭の回転の速さ、
相手を良く考察し暴き出すくせに、自分の内は見せない強かさ。
それらは家柄に培われたモノに間違いない。
弱そうで流されそうなくせに、意思は強く色んな哀しみを負って生きている様に感じた。
しかし、まだ、全てを聞いてないので、
わからないが、本当のトコロ、コイツの大部分を作ったのは母上と瑠璃自身だ。
(…中身は傷だらけだった…)
拝賀の日の夜、初めて憎悪を露わにした。
『ただ 褒めて欲しかった』
『我慢しても、努力しても、報われないのか、認めて欲しかった』と泣いた。
でも、それを、そうする自分が
『浅ましく、醜く、弱い』と言った。