第4章 光秀逗留
瑠璃の部屋を出て光秀と2人廊下を歩いていると、
政宗が腕組みをし、柱に寄りかかり
待っていた。
(光秀様、政宗、機嫌悪いよね?
何かありました?)
瑠璃が小さな声で光秀を見上げる。
その瑠璃の頬を指先でツゥーと撫で、
耳元に囁いた。
(何かあるんだろう、これからな)
何時もの光秀なら、挑発するような悪い笑みを
政宗に向ける所だが、優しげな笑みを瑠璃に向かって見せる。
(?そうなの?)
光秀と政宗を交互に見て、
(小十郎様に叱られたのかな?)
と小声で続ける。
2人に対し更にピリピリした感じの政宗。
訳がわからない瑠璃と不機嫌な政宗に、
光秀は吹き出しそうになるのを必死に
堪えている。
「お前は…自分の所為だとかは考えないのか…?」
光秀の一言にピンと来たのか、声を上げた。
「私、お仕事ちゃんと出来ていなかったでしょうか?
それとも、お仕事が残ってるから出掛けるなってことでしょうか?」
瑠璃の的はずれな台詞に
「ククク…あははははは」
光秀は耐え切れず、笑い出してしまった。
しかし、政宗はまだ不機嫌な様子。
「気を付けて行ってこい」
とだけ言うと
じっと、瑠璃を見つめるとクルっと背中を向けて、それ以上なにも言わず、不機嫌なまま行ってしまった。
「政宗?…」
小さく瑠璃が小首を傾げて名を呼んだ。