第25章 不安な夜に寄添う(R18)
「出来なけれは、叱られたのか?」
「叱られる…なら、良かったですね」
瑠璃の声が小さくなる。
政宗は聞くのを止めようかと思ったが、好奇心には勝てなかった。
「続き、聞いてもいいか?」
銀鼠色の瞳が揺れながら政宗を見たかと思ったら、スッと逸らされる。
そして、冷たい瞳を政宗に向け直して来た。
(一瞬にして凍てついた)
「躾けと言う名の折檻です。叩かれ、抓られ、体罰です。
母は着物を着ていたので、流石に、蹴られはしませんでしたが…。鬼の形相ですよ。
子供の頃は本当に怖かった」
感情の籠らない平坦な口調で淡々と話す瑠璃だったが、政宗の表情が曇る。
(「叩かないで…ごめんなさい…」)
以前、魘されている瑠璃が、うわ言で言っていた言葉を思い出す。
「出来ない処をただ、指摘され、怒られるなら、私も救われましたが…
冷たく言い放たれ、罵られ、突き放されるんです。
「不出来な子は必要ない」とか
「出て行きなさい」「うちの子じゃない」とか他にも色々と。
子供ながらに、私はなぜ此処にこうしているのだろう と考えました」
聞いているだけで、辛い。