第25章 不安な夜に寄添う(R18)
「どうした?お前らしくないぞ。
射駆けを始めて間もないし、催しまで時間もある」
政宗は瑠璃を抱く腕に力を込める。
「射駆けはそんなに簡単じゃない。そんなに躍起になるな。
出来るはずだから、家康はお前に射駆けを教えてるんだ。
アイツは見込みのない奴に、教えたりしない」
固く握られた瑠璃の拳をほどく 様に指を絡める。
「大丈夫だ、お前なら出来るさ。時間もまだある。焦らずやれよ」
顎に手をやり上向かせると、口付けを送る。
「ンッ…」
「力 抜けよ。何でそんなに力んで恐い顔するんだ。
いつもみたいに、涼しく澄ました顔してろよ。なっ」
優しく微笑して、銀鼠色の瞳を覗き込む政宗。
「俺はー…、射駆けは苦手だっ」
言い切る政宗。
「政宗ったら」
ようやく笑った瑠璃。