第24章 家康の特訓
瑠璃はじぃーーっっと家康を見つめてから、
恐る恐る問う。
「馬に乗ったまま、弓を引け …と?」
これまでの特訓はこの為のものだったのだと、
今、判明した。
「さすが、察しがいいね」
家康が冷淡に答える。
「そう、射駆けしてもらう」
馬に乗り駆けながら、弓矢を射る事を 射駆け と言う。
現代で瑠璃は、神社の神祭事でしか見たことがない。見た だけだ。
さすがの瑠璃も尻込みする。
「い、家康様は出来るんですか?」
「まぁね。
でも……出来る奴、稀だから」
にやり と笑う。
「え……」
「出来ないからやる価値があるんでしょ。
誰でも出来ること、習得しても意味がない」
(馬上で刀を振るう方が、何十倍も簡単だよ)