第24章 家康の特訓
家康がチラリと瑠璃を見ると、
何か言いたそうな顔をしている。
「何?」
「今度の催しに、コレは含まれているんですか?」
「さぁね」
知ってか知らずか、家康はいつもの様に無表情で答える。
瑠璃は、そんな家康を少しの間 ぽかーん と見ていたが、すぐに表情を引き締め
「分かりました。頑張りますね」
凛とした強い眼の美しい笑顔で答えた。
今度は、家康が ぽかん と瑠璃を見る番だった。
(この女、本当に何 考えてるんだ…)
きちんと理由を説明されてもいない、
催しに必要かどうかも、分からず明確でもない。
なのに、二言目に受け入れた。
(普通、もっと渋るだろ)
簡単ではない事に、挑むように強い目をして快諾した。
どうして、押し付けられたも同然の事を、涼潔に美しく笑って受け入れられるのか、家康には、どうしても解らなかった。