第24章 家康の特訓
家康が労ってくれたのは、特訓を開始して、
既に10日は過ぎて初めての事だった。
しかし、優しい言葉をくれたのはその一度だけでそれからは相変わらず、厳しくて
「よし、そうだ。脚に力入れて、鐙に乗る!」
「駄目駄目ッ、膝で振動吸収して!」
「駄目!上半身揺れてる!」
「動かすなっ、固定しろっっ」
落ち込むなと言う方が無理な程、
家康の容赦無いダメ出しは続く。
ヘコみそうな気持ちを奮い立たせ、
徳川御殿に向かったある日の練習、
馬場に向かうと、弓矢を持った家康が待っていた。
(弓?)
不思議に思いながらも、いつもの様に馬に跨ると、
「今日から、此れ、持って」
弓の道具を渡された。
(ま…まさか……)