第24章 家康の特訓
馬場では白石が首を振り、不安を表していたと思えば、鼻で瑠璃を押して、追い出そうとしたり、威嚇して咬みつこうとしている。
瑠璃は、そんな白石に何か話しかけながら、体を撫でたりしてあやしている。
(馬の扱いには、随分 慣れてるんだな)
冷静に観察する家康。
それでも、やはり、白石は瑠璃を認めようとしない様子。
鼻息も荒く頻りに後脚を掻いている…と思ったら、大きく嘶(いなな)いて立ち上がった。
「‼︎」
政宗がビクッと反応する。
「白石っ、大丈夫よ」
立ち上がった白石を、瑠璃は強い口調で、
でも笑顔で制する。
逃げ出すと思った家康は、目を見張り驚いていた。
「お前のご主人より、上手に乗ってあげるから、
心配いらないよ。私に任せて」
怯え威嚇している白石に優しく強く言い聞かせる。
興奮している白石に辛抱強く声を掛け、体を撫で続ける。
「大丈夫、怖くないよ。痛い事もしない。
絶対、大丈夫。だから落ち着いて」
そうしていると、少しずつ白石が大人しくなっていく。