第24章 家康の特訓
馬は操縦者を見る。
馬に格下だと先に判断されれば、
馬鹿にされこちらの言う事は聞かない。
「瑠璃が乗るの、尻(け)っぱねる んじゃねぇのか?」
「それだけで済めばいいですけどね」
家康は平静に腕組みをして成り行きを見ている。
政宗は何とも渋い顔になる。
「おいおい…いくら瑠璃が馬に乗れるとは言え、試し過ぎだろ」
青葉城にいる時何度か遠乗し、旅も一緒し、
瑠璃が馬には慣れていて、上級者であることは分かっている政宗だが、これまでは、暴れるような馬を与えていなかった事もあって、心配になる。
「主人以外には暴れ馬になる様な馬、当てんなよ。怪我でもしたらどうすんだ」
政宗がグチグチ言いながら家康を睨む。
「……ウルサイですよ、政宗さん。
心配で見てられないなら、帰って自分の鍛錬でもして下さい」
ピシャリと言い放たれ、政宗は黙るしかなかった。
心配で今更、帰れない。
(大丈夫かよ〜)