第23章 政宗の小姓2
ここのところ、毎日のように何処にいても聞こえて来る、下品で心無い言葉達に、家康は心を痛め、苛々としていた。
幼少期、人質だった時、何を言われても口を噤み、耐え忍ぶしかなかった日々が思い出されて、弱い自分、力の無い自分、言い返すことも出来なかった悔しさ、怒り、憤りが、蘇り、至極 嫌な気分になっていた。
だから、思うように発言させ、指を咥えて見ているだけの三成にも、腹が立った。
(しかも、瑠璃は女だ。あんな汚い言葉っ)
そう思うと腸(はらわた)が煮えくり返りそうだった。
「下品な言葉 聞いて 気分良いはずないだろ。
お前だってそう思うなら、黙らせろよ!」
怒りは下品な事を言った男に対してではなく、それを目の前で放置していた三成に向けられる。
(家康様…私の為に?そんなに怒るの?
あの男に対して、三成様に対して…)