第3章 初夏の訪問者
光秀来城の知らせを城下でうけた政宗が
程なくして戻って来た。
「小十郎、光秀が来たと知らせが来たが、
何処だ?
俺の部屋には居なかったぞ」
自室に戻ってみたが光秀がいなかったので、
探して、小十郎の部屋まで来た政宗だったが、
ここにも居なかった。
「私の処にはいらしゃってません。
光秀様がいらしゃったことを、女中に
知らせたのは、瑠璃殿のようですので、
そちらにいらっしゃるのでは?」
「瑠璃の部屋にか?」
それを聞いて、慌てて政宗は瑠璃の部屋に
急ぐ。
「瑠璃っ、入るぞ!」
パァンと襖を開ける。
が、瑠璃も光秀も居ない。
「彼奴ら、どこ行ったんだ?」
外廻廊に出ると、渡殿を幾つも渡った端の方に
人影を見つけた。