第22章 政宗の小姓(R18)
その日の遅い午後、女性姿の瑠璃が城に居た。
しかも、多くの人の目に付く庭で、信長と一緒に。
「何故、俺に足を運ばせた」
「お久しぶりです、信長様」
庭から天守を見上げ、笑顔で手招いたのは瑠璃だった。
「久しぶりとは…毎日、面白可笑しく見ておるわ」
クッッ と片方の口角を上げて笑う信長。
「そろそろ、瑠璃の私も見て頂かないと、
お忘れになるんじゃないかと思いまして」
ふふふ と笑って瑠璃も信長を見る。
何をするでも、特別な話をするでも無く、ただ並んでいる2人。
「今日の貴様は光秀と同じ眼をしておるな」
「光秀様と?どこがですか?」
目を細めて信長の緋色の瞳を覗く瑠璃。
「退屈させるな、楽しませろと言ったであろう。策士よ」
そこに居ない誰かに見せつけるように、近づくと、瑠璃の耳元にそう囁いて、笑いかけ、羽織を翻し行ってしまった。