第21章 呼ばれた男
「おっ、おう!ありがとうな、姫さん」
顔から首まで、真っ赤にして俯く源蔵は、
女性への免疫力 ゼロなのだった。
瑠璃が御膳を下げに行っている間に、
疲れていた源蔵はすっかり眠ってしまっていた。
(疲れてたし、お腹もいっぱいになりましたしね)
布団を掛けて部屋を出た。
二刻は寝ていただろうか、優雅な音が聴こえて来て源蔵は瞼を上げる。
今まで自分の周りには無かった美しい音。
音の流れて来る方に顔を向け、見えたのは、
少し離れた処に並んで座る2つの背中。
逆光でよく見えないが、穏やかに笑い合っているかの様な横顔。
ムックリと起き上がると、気付いた瑠璃が声をかけてくれる。
「起きましたか、源蔵さん。政宗、帰ってきてますよ」
「姫さん…」
「政宗と話もあるでしょう。お茶、淹れますね」
立ち上がる瑠璃。
もうひとつの背中は政宗だったのだ。