第20章 禁止令発動
ある日は光秀が来て
「瑠璃、琴を弾け」
「病み上りに琴を弾かせるなんて…」
「弦の上を手が行き来するだけであろう」
「光秀様が運んで来てくださいよ」
ある日は最初から徳利と盃を持って
「酌をしろ」
と入って来たりもした。
「見舞いですか?暇つぶしですか?」
「お前の可愛い顔を見に来たに決まっているだろう」
わざとらしく柔和な笑みをして見せる光秀に、瑠璃も負けじと
「まぁ、光秀様の顔をみたら、早く快くなれそうですわ」
美しい作り笑いを披露した。
家康も2日置きに来ては薬湯を入れて体調を見てくれた。
「家康様」
「何?」
「私、感染(うつる)病気ですか?
それにしては、皆さん近くまで来て、触ったりもしてくれますが…」
瑠璃は首を傾げながら家康に話す。
「政宗は そこからこっちには来ないんです。私のこと 避けてるみたいです」
政宗の様子を思い出しながら不思議がる瑠璃。