第20章 禁止令発動
「ところで政宗さん、瑠璃は籠に乗って来ましたか?」
「…………」
答えたら何と言われるか恐ろしくて、政宗は口を噤んでいる。
「政宗さん、吐いて下さい」
睨まれる。
蛇に睨まれた蛙だ。
「う……馬で一緒に……」
「馬ぁ〜?」
家康は大きな溜め息をつく。
(この季節にあの距離を馬で来たってのか、
この女……身の程知らずって言うか……)
距離もだが、冬の峠越えなど考えただけでも、
開いた口が塞がらない。
「馬鹿だよバカっ。あんた達っ、馬鹿じゃないの?
休ませて、栄養ある物与えて、絶対安静!それだけです」
馬鹿を連発しイライラと爪を噛む。
ブツブツ言いながら帰り際に、
「当分、接触禁止」
政宗に捨て台詞を残して帰っていった。
(ありゃぁ、相当 怒ってんな)