第20章 禁止令発動
高熱だった。
翌朝になっても高い熱は下がらず、家康を呼びにやった。
「朝っぱらから何なんですか」
「悪いな」
「使いの者が、瑠璃の熱が下がらないって言うから、解熱の調合してきましたけど…」
政宗から事の詳細を聞いた家康は呆れた。
「…政宗さん…」
「お、おぅ」
「…休ませれば治ります。解熱湯も必要なし!」
冷たく睨む家康。
「なにやってんですかっ。
抱くのは勝手ですが……休ませずに抱きまくったら、瑠璃の体力も限界になりますよ」
呆れつつ、政宗の軽率な行動の所為だと非難する。
馬鹿馬鹿しいと思いつつも、怒り心頭だ。
「旅の疲れもあり、コッチに着いても環境の変化とか、色々あって身体だけでなく、精神的にも疲れてたんじゃないですか。
大事に思うならもっと考えて下さい💢」
苦言を呈する。
寝ている瑠璃のそばに行くと、
白く細っそりとした手首を取り、優しく脈を測る家康。
「脈も弱く呼吸も浅い、高熱の割には汗のかき方も少ない。体力低下が主な原因だと思いますが…」
朝の明るい部屋の中でも青白い瑠璃の顔を冷静に見る。
「今回は精神的疲労も一因だと思いますんで…
まっ、謁見時の瑠璃を見た限り、虚弱体質ってことはなさそうでしたので、心配はないでしょう」
瑠璃の其処此処を触診しつつ、そこまで説明すると、黙る政宗に向き直る。