第18章 女神の創傷
政宗は自分を責めているのか。
そうではないと瑠璃は言いたかった。
「政宗は私のコト、考えてくれてますよ。
だから怒ったり、苛立ったり、解ろうとしたりしてくれるんでしよう」
瑠璃は困った様な、でも嬉しそうな複雑な微笑を浮かべている。
「……嬉しいとは思うんですが……そうしてくれるから、私は…、私を解って欲しいと、認められたいと、望んでしまう……」
微笑を湛えたままに瞳が潤む。
(『褒められたいなんて、おこがましい。
アナタは何も望んではいけない』)
瑠璃を傷つけ続ける母の言葉。
母の言葉が、母の顔が瑠璃の心に影を落とす。
「欲張りそうになる。甘えそうになる。
私は何も望んではいけなー「くなんかない」」
戒めのような、呪いのような母の言葉を政宗が断つ。
「お前は望んでもいい。
褒められたいと思うのも、おこがましくない。
泣くのも笑うのも自由だ」
抱きしめる。
「お前は俺と生きるって決めたんだろ。
母上の言葉は捨てろ。俺の言葉を聞け」
(信じろー…。心を開け、何度でも言う)
心の中で、願う。