第18章 女神の創傷
「言わなきゃ、何もしてやれないし、解ってもやれない。なんて、キツいこと言った」
(お前は、前に、隠してしまう癖がついてしまった……と教えてくれていたのに…)
「政宗…それはー」
「なのに、俺の言いたい事、思ってる事ばかりをぶつけた」
少しずつしか表せない瑠璃の事を、考え、慮っていなかった事に、今 気付いた。
(自分から見せて来ないなら、コッチから引き出してやらなければいけなかったのに…。
それをしないで、無理に言わせようとした)
光秀はそう言う処が上手いのだ。
悪く例えれば誘導尋問の達人。
真っ直ぐな政宗には出来ない事で、
信長が言っていたのはこの事だった。
「それは、私が ちゃんと言えないからで…悪いのは私です。
私の勝手で泣いて、怒らせて傷つけてしまって、ごめんなさい」
瑠璃が申し訳なさそうに謝る。
「いや…傷つけたのは俺の方だ。
お前が自分の心を開きにくいって事を、俺は知ってた。
なのに、言わない、と腹を立てたんだ。
それは、俺がお前の事を考えてやってなかった、ってコトだ」
政宗は非を認める。