第18章 女神の創傷
政宗は瑠璃の額に口付けてから
「驚くほど綺麗だった。着物も櫛留めもよく似合ってた」
蒼い瞳に見つめられ、瑠璃は照れ臭そうに桃色になって、はにかんだ笑顔を見せて、顔を伏せる。そしてまた顔を上げても、まだ、誉めた政宗が照れそうなくらい、照れている。
(自分から誉めろって言っておいて、
誉めたらそんな顔すんのかよ…反則だろ〜)
そんな瑠璃をみて、擽ったくて幸せな気分になる。
自分が誉めれば、誉めた分だけ可愛く照れるのを、改めて知った。
そして、誉めなかった事を後悔した。
「……櫛留め、光秀様に自慢したの。
政宗からの贈り物で、私の宝物だって」
瑠璃はここに無い櫛留めが、
手元にあるかの様な目をして話す。
それは、宴で光秀に見せていたのと同じ笑顔だった。
瑠璃がどうして、あんなに幸せそうに、
光秀に笑いかけていたのか、その理由が今 解った。
(俺は勘違いしてたのか)
瑠璃の幸せそうな笑顔は、光秀が引き出したのではなく
(俺が買ったもので、俺を想って……)
瑠璃の政宗を思う気持ちが引き出した笑顔だった。
政宗はギュッと瑠璃を抱き締める。
「ごめんな」
「なんで政宗が謝るの?」
突然の謝罪に瑠璃は不思議そうに問う。