第18章 女神の創傷
そして、
瑠璃が、失意の先に絶望を見たように声を、振り絞った。
「アナタは何も望んではいけないーー……
……それが母の答えだった…」
2度目の衝撃。
政宗は耐え切れず、宙を振り仰いだ。
(そんな言葉 飲み込んで、突き刺したまま、今まできたのかー…)
憐れみしかなかった。
「よく耐えたな。
……辛かっただろう、痛かっただろう…」
言葉を受けて、また涙する。
その刺さった棘を、いつか、抜けるように、今は泣けるだけ泣けばいい。
その涙は哀訴からか、母への愛憎からかは判らないが、胸が張り裂けそうな悲しみには間違いなかった。
謁見と宴の疲れもあって瑠璃は、政宗の腕の中で泣き疲れて眠ってしまった。
(休むどころか余計 疲れさせちまったな)
色々、思い考えたい事があるのに、温かな瑠璃を抱いていると、政宗も眠くなってきた。
やはり、政宗も思ったより疲れていたのだ。
(難しい事は後で考えるか…)
閨へ行き瑠璃を寝かせると、一緒に布団に入る。
泣き腫らし赤くなった目尻と唇に口付け、政宗も目を閉じた。