第18章 女神の創傷
言葉を待っているかのようにも、縋り付いているかのようにも見える。
「褒められたいと思ってもいい。
それはおこがましい事じゃない。
泣いても弱くても恥ずかしい事じゃねえ」
言い聞かせるように、同じ言葉をかける。
「でも……」
一度言い聞かせただけでは受け入れられないほど、心の傷は深い。
闇だと思っていたのは闇より深い傷。
傷だらけだった瑠璃の心。
(一度で駄目なら何度も言うしかないだろ)
「瑠璃、この間も言った。
俺の言葉を信じろ。俺を信じろ」
政宗は瑠璃から眼を逸らさない。
瑠璃も逸らさない。
けれど、瑠璃の眼は途方に暮れている。
疑って、迷っている。
「瑠璃」
「………ダメッ、無理っっ」
またぼろぼろと涙を零して頭をふる。
「俺を信じられないか」
「ちがう…無理ですっ、だって……」
(信じ、ようと…手を伸ばしても…もし、また……)
振り払われたら、そんな考えがよぎる。
「……怖い……こわい……」
幼子が言うかの様に言って、政宗の襟元から手を離し膝を付く。
「だって…こわいもん…」
座り込んだ瑠璃を抱きしめる。