第17章 新年拝賀5(宴の刻)
「お前はまだまだ分かりやすいな」
いつかと同じ言葉を投げかけて、盃をあおる。
「政宗からの贈り物には到底劣るだろうが、俺もお前に贈り物だ。
長旅と謁見、そしてその後、全て含めて褒めてやろう。
褒美と言うべきか?」
袖に手をいれる。
「受け取れ」
瑠璃の手の中に置かれたのはーー…
「石鹸…」
光秀と手の中の石鹸を交互に見て、
「光秀様、ありがとうございます!」
幼い笑顔で嬉しそうに笑って光秀を見、
愛おしそうに石鹸を抱き締める。
光秀と初めて城下へ出掛けた時と同じ笑顔で。
周りで見ていた者達は……
「光秀に」「光秀さんに」「光秀様と」
「「懐いてる…?」」
「仲良しですね」
驚きにあんぐりと口を開ける2人。
ちょっと不思議そうにする三成。
「……」
口をへの字にして無言の政宗。
「わあ、楽しそう」
何もわからず羨ましそうな美弥。
「やはりな」
悠然と見守る信長。
光秀は楽しそうで満足気に盃を傾け、
瑠璃の笑顔を眺めていた。