第17章 新年拝賀5(宴の刻)
宴もたけなわで、信長が政宗の元へやって来た。
「政宗、貴様は瑠璃を連れて下がるが良い。
貴様も疲れたであろう」
政宗が蒼い瞳で信長の真意を探ろうとする。
「………」
(俺が疲れてるって?)
「心労だ。謁見中、瑠璃より貴様の方が気を揉んでいたのではないか?
それにあの女は、美弥ほど単純明快ではないようだからな」
瑠璃を見やる。
「頭の切れる女は心も複雑なもんだ。
やはり、貴様があの刀を従えられぬならば、
俺に預けるか、光秀にでも譲れ」
信長の鋭い眼が挑発するように政宗を見る。
「光秀に譲る気はありませんが」
「ならば、お前も少し成長するがよい。
ただ、真っ直ぐ斬り込むだけの太刀筋、変えてみろ」
「……」
黙る政宗
「複雑な太刀筋でも、見極めれば後は簡単なものだ」
瑠璃を見ている信長の視線に釣られるように目を向けてみれば、ほろ酔いの秀吉に捕まって、苦笑している瑠璃がいた。
「なぁ、そうだろ?お前、絶対 変だって」
美弥の時のように疑っている訳では無いだろうが、秀吉はアレコレと質問しながら絡んでいるのだろう。
それを見て政宗は
「……それでは、下がらせて頂きます」
信長に頭を下げ、立ち上がる。
「ああ、ゆっくり休ませてやれ」