第17章 新年拝賀5(宴の刻)
(近寄らせない、ガードの固い人だな…
人質の幼少期に性格歪んだのかしら)
心の中でフフと笑う。
冷たくされたはずの瑠璃は、至って平気そうに、笑みさえ浮かべているので、三成と秀吉は首を傾げていた。
家康に素気無くあしらわれて、平気そうな女は、
そうそう見たことがない。
瑠璃を見る家康も嫌そうな顔をして、
「……あきれた…。
本当にアンタの心臓どうなってのさ。
今朝も、あの人前にして冷静に気の利いた受け答えが出来るなんて、信じられない」
チビッと盃を口につけてから、そう評した。
「うふふふ、止まってたりして」
「え⁉︎」
家康は驚いて顔を上げ、瑠璃を凝視する。
「ほらっ」
瑠璃は冷たい手で家康の手を握った。
秀吉がギョッと目を剥く。
「冷たいでしょ?死んでるんですよ」
ヒンヤリとした手に取られ家康が固まった。
それを見て、瑠璃は満開の笑顔になる。
「わっ…らえない、冗談、だね」
なんとかそう返す 家康。
「早目においとましますね」
「あぁ、そうしてよ」
顔を真っ赤にした家康は、恨めしそうに瑠璃を睨む。