第17章 新年拝賀5(宴の刻)
「今朝はお疲れ様でした。
たくさん食べて、楽しんで下さいね」
労う三成の横から
「楽しめる訳ないだろ。
気疲れするだけだから、早く帰りなよ」
家康が素っ気なく発する。
「そうですか…楽しくありませんか…」
消沈したのは瑠璃では無く、三成。
「いえ、あの、そんな事はー…」
「瑠璃。
ハッキリ言わないと三成には伝わらないよ」
ジロリと三成を見る家康。
「家康、そう邪険にすんなよ」
秀吉が来て三成を庇う。
(家康って…徳川家康?)
「邪険にしてるんじゃありませんよ。
三成への接し方を瑠璃に教示してるだけです」
しれっと返す家康が、瑠璃の視線に気付き、
うざったそうに顔を顰める。
「なに?」
「徳川家康様?」
「そうだけど、だったら何?」
ぶっきらぼう で冷めた態度。
普通ならこの態度に怖気づくのだが、瑠璃は平然として丁寧に頭を下げる。
「挨拶も申し上げませんで、大変失礼致しました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します」
挨拶をした瑠璃に対し
「ヨロシクしないから、そんな堅っ苦しい事しないでくれる?」
そう言って、翡翠色の目をふいっと逸らす。