第16章 新年拝賀4(女神の涙琴)
(能面……か…)
その言葉は思ったより瑠璃の心の奥に突き刺さった。
(どれだけ、どんなに我慢しても、努力してもーー……)
解ってもらえないのか、汲み取ってもらえないのか、報われないのか。
(所詮、そんなモノだったのよ…バカみたい…)
そう思うと笑いが込み上げてきた。
泣いているのが 奇妙なくらいだ。
(そう言う存在だったじゃない…今さらだわ…)
襲い来る虚無感。
その虚無感に包まれ、決壊し溢れ出そうとしていた思いが、堰き止められた。
溢れて、吐き出して、全て涙で流してしまえば楽になれたのに、溢れては来なかった。
フッ…ふふふふふ……笑いがこみ上げる。
棘のように突き刺さった言葉を、抜かないまま飲み込んで、瑠璃はまた顔を上げるのだった。
先ほどまで晴れ晴れとしていた瑠璃が、
突然 涙して政宗も驚いていた。
「大丈夫か、瑠璃?」
政宗は 自分が何気無く発した言葉が原因だとは露ほども思わない。
「…大丈夫です…。
ちょっと、気が緩んじゃったみたいです」
笑いを含んだ声を出してみせ、安堵から来た涙 だ という風を装う。