第15章 新年拝賀3 (謁見の刻)
敵か味方か、信用するとかしないとか、
見定めるとか、そんな事は関係ない。
信長は、ただ面白がって名前を呼ばないだけなのだ。
名前を呼ばれる事もなく、この状況。
どうかすれば、これはただの辱め。
屈辱と感じてもおかしくない。
けれど瑠璃は割り切っていた。
こうなる事は覚悟して来た。
青葉城を出る前にも、昨夜も政宗と話をした。だから瑠璃は平気だった。
瑠璃の強さ。
瑠璃のプライド。
(これは私の為でもあり、政宗の為でもある)
得体の知れない疑わしい者を側に置いていない事を証明する大切な事だ。
(だから、平気)
「豊臣秀吉様、ご無礼 お許しください」
頭を下げ一言詫びると、立ち上がり、
瑠璃紺色の打掛けを脱ぐ。
秀吉は目の前に立つ瑠璃を見上げる。
「あ、ああ…」
(俺、名乗ったっけ……?)
と思っていると、着物の裾を割って、
白い脚が目の前に現れた。
(え?)