第14章 新年拝賀2(三成)
「み、み、三成くん?
それ、何の例えの四字熟語かな?」
美弥はオロオロしている。
「沈魚落雁(ちんぎょらくがん)ですよ。
美弥様」
美弥の問に、ちょっと不思議そうに小首を傾げた三成は、またも、得体の知れない言葉を放った。
「え?もっと解んないよぉ〜」
美弥は半ベソをかいている。
「それでは、説明いたしますね」
「え?今?ちょ、チョット、待っ…」
全てを余所に説明を始めようとする三成に、
美弥は更に焦る。
美弥の制止や心配を汲み取らないまま、
三成の説明が始まってしまった。
「羞花閉月とは、あまりの美しさに、花を恥じらわせ、月も恥じて隠れると言う意味で、美人で容姿の優れた麗しい人のことを表す言葉です。
それからーー……」
「み、三成くん、もう、あの、そんなに真面目に、誉めたら、コッチが恥ずかしいから……」
しどろもどろに止めようとする美弥は、
自分の事のように顔を赤くしている。
三成の言っている事が解るのか解らないのか、
瑠璃はずっと穏やかな笑顔でただ黙って聞いている。