第14章 新年拝賀2(三成)
「え、ええ…その様ですね。
聡明で戦略の才に長けた方と存じておりましたが、
武将と言うには余りに繊細穏健で、柔和な感じの方で戸惑ってしまいました。
石田様、大変、失礼いたしました」
何とか動揺を抑え詫びる瑠璃に対し
「その様に誉めて頂けるとは、もったいない!
私はまだまだ学ぶ事も多くて……」
と照れているではないか。
もう表には出さないが、瑠璃は益々たじろいだ。
(私、誉めたのかしら?)
それさえも分からなくなってきた。
麗雅な佇まいで笑顔を浮かべている瑠璃をチラリと見る政宗。
(瑠璃がさっきからずっと狼狽してる…
相手は三成だぞ?あり得ねぇ)
政宗は向い合っている2人を面白そうに見ていた。
「瑠璃様は…本当にお綺麗で…羞花閉月です」
三成がニコニコと瑠璃を誉めたのだが、
「はぁ?」「え?」「??」
控えの女中も含め、そこに居合わせる一同、
何の事をどう誉めているのか、誰も、解らなかった。
「三成?なんだその誉め言葉」
特に、三成の斜め後ろに居る美弥は焦りながら、疑問符を浮かべているのがみてとれた。
瑠璃は、同じ笑顔を湛えている。