第14章 新年拝賀2(三成)
石田三成と名乗った青年は、紫の瞳を
柔らかに細めて人懐こく笑っている。
(エ…エンジェルスマイル…この人が石田三成?)
悪気毒気を一気に抜かれそうな、
猜険(さいけん)のない純明で爽やかな笑顔。
(キラキラ男子…少年が大人になったみたい)
瑠璃の周囲では初めて出会うタイプだった。
(石田三成。外交交渉を担い才賢で頭脳明晰。一度に幾つもの政策を動かしていたって…でも、こんな物腰の柔らかそうな、癒し系⁉︎)
光秀に会った時は、ピクリともしなかった瑠璃の心が逃げ腰になる。
「草食動物的な…ソフトキャンディとか、
綿菓子みたいな…いや、スポンジケーキ?」
小さな声で下を向いて、ブツブツと口の中だけで何かを言っている瑠璃。
かと思えば
「食べたら虫歯になりそうな?」
両手で頬を挟んで恐動した表情になる。
「瑠璃、大丈夫か?三成は、武将達の中で一番温和で天然だぞ」
政宗は、明らかに怯えて見える瑠璃にそう言ってフォローする。
政宗のフォローを聞いた美弥も苦笑いだ。
三成をフォローしたのか、瑠璃をフォローしたのかよくわからない発言ではあったが…