第13章 新年拝賀1(準備)
その後ろから着飾った瑠璃が女中達に連れられて歩いて来た。
(こりゃぁ……)
瞠目した。
「如何でしょうか、政宗様」
言葉を発せない政宗を、女中頭が得意げに見る。
「恐れ入った…お前達には頭が下がる」
(これほどまでに、麗しくなるのか……)
「ワタクシ共も施しがいがありました。
色白でいらっしゃるので、政宗様のお選びになった濃い色の着物が良くお似合いで、
瑠璃様の雪肌は化粧(けわい)の必要もないほどで、誠に素晴らしい」
手放しに誉め千切られ恥ずかしいのか、瑠璃は俯いている。が、女中頭の言葉に
「瑠璃様、お美しく御座います。お顔を上げ、
行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
スッっと顔を上げ、背筋を伸ばす。
そこに居合わせた全ての者の口から、
溜め息と感嘆の声が漏れた。
神々しいほどの美しさ。
「お前、やっぱり女神だったんだな」
「恐れ多いことを…ふふ」
安土城の姫も人々の心を掴むほど、美人で可愛らしい。
しかし、瑠璃のように高雅な美しさではない。
安土城の姫は清純で素朴。天真爛漫で太陽の様な美しさ。
瑠璃は麗雅で高潔。優艶清光で月の様な美しさ。
瑠璃紺色の打掛けのせいか、青い夜の冴えた月のように輝いて見える。