第13章 新年拝賀1(準備)
拝賀当日がやって来た。
早朝から御殿の中は騒がしかった。
「瑠璃様」
「瑠璃様」「瑠璃様」
女中達がかかりっきりで、瑠璃の支度をしている。
「なんの騒ぎだよ、こんな朝っぱらから。
支度にそんなに手間取らないだろ……」
拝賀当日だと言うのに、いつものように
早朝鍛錬を終えて、御殿の回廊を歩く政宗が
呆れたように呟く。
行き交う女中達は楽しそうな顔だ。
「これ全て政宗様がお選びになったのですか⁉︎」
「どれも瑠璃様に似合いそうなお着物ですね」
「政宗様が姫様を連れくるなんて!」
「「ね〜〜」」
「この柄、素敵っ〜」
部屋の外まで楽しげに話す女達の声が響いている。
(まっ、どうなるか楽しみだな)
政宗も期待しながら、自分の支度に向かった。
政宗は群青色の直垂(ひだれ)姿に侍烏帽子を被り礼服正装して待っていた。
「お支度整いました」
女中が来て伝える。