第13章 新年拝賀1(準備)
でも、政宗に誤解され、幻滅されるのは嫌だった。
それは、すでにそれ位、瑠璃にとって政宗は大切で、信頼していて 想っているからなのだ。
瑠璃は言葉にならなくて、項垂れる。
「じゃぁ、俺の言葉を信じろ。いいな。
次からはお前の否定の言葉は聞かないからな」
「はい…政宗」
「良し、いい子だな、瑠璃」
政宗は優しく慈しむ様に笑うと、瑠璃を
引き抱き寄せ、額に口付けた。
「政宗、私はそんなに誉めてもらえるような人間ではないよ……」
私はこんなにも独りだったのか。
私は誰も信じていなかったのか。
私は自分さえも信じれていなかったのか。
真っ白なフリで真っ黒だったのだと。
信じるフリで疑って、肯定するフリで否定してきた。
私は私を欺き、私は私に欺かれていた。
(言葉を操る事は自分自身も操る事…)
でも、
誰も否定したいと思った事は無い。
疑いたいと思ってる訳でもない。
「政宗…私は信じていいの?……」
手を差し伸べてくれている。
その手を取らなければ、また独り。
手をとっていいのか……
手の取り方も分からない……。
瑠璃は混沌とした自分の心に途方にくれた。