第13章 新年拝賀1(準備)
「政宗、4日で仕上げろって言ってたけど、大丈夫ですか?」
「3日で仕上げて来るさ」
当然のように答える政宗。
「ところで、袴は必要でしたか?」
たまに馬に乗るのなら今ある分で十分だったし、
新調するほど汚れてもいない。
「その事なんだが…
お前、小姓姿で俺についてまわれ」
と政宗は真面目な顔で言う。
「俺が登城している間、1人でここに居るのは退屈だろう。
それに、小姓姿で動き回るの案外好きだろ」
政宗は、お見通しだと、いう風に笑って瑠璃を見た。
意外そうな顔をしていた瑠璃だったが、
花が綻ぶように笑う。
安土迄の旅で瑠璃の事が少し分かってきた政宗だった。
「楽しそうですね。
あ、でも、瑠璃って呼んだらバレちゃいますよ」
「別の名前、考えた」
童子が2人、ワクワクと悪戯を考えているみたいだった。
「玉瑛(ぎょくえい)」
側にあった紙に漢字を書く。
「美しく透明な石、その玉の光を意味する」
透明な石とは、現代にもあって、水晶の事だ。