第13章 新年拝賀1(準備)
翌朝、呉服屋が店子数人を連れ政宗の御殿を訪れた。
ずらりと並べられた、桐の衣装箱。
着物は、打掛け、振袖、小袖。
小物は、帯、帯留め、帯紐、草履など、
必要な物を揃える。
「政宗様、お手柔らかにお願い致します」
主人が頭を下げる。
「女の物は専門じゃないから、こちらこそよろしく頼む」
言いながら、主人の前に座る。
「瑠璃、好きな物を選べ。
気に入った物がなければ言え。
持って来させる」
「私はこの時代の流行りや美などが良くわかりませんので、政宗にお任せします。
ただし、萌黄色の様な明るく薄い緑色は避けてお願いします」
とだけ言って、大人しくにこやかに座り、
意見を求められた時のみ受け答えをした。
本当にほとんど全てを政宗が選んだ。
かなり責任重大だったが、さすがは政宗。
「政宗様…武士をお辞めになって織物を
生業にしてはいかがですかな…」
呉服屋主人が舌を巻くほど、見事な色柄合わせを披露した。