第12章 睦月の旅路(海路にて安土へ)
10日目
今日も快晴だった。
しかし、朝から瑠璃は元気が無い。
(さすがに昨日の峠越えは無理があったか)
駆けれる道は全て駆け、馬にも無理をさせた昨日。
同じく瑠璃も無理をしたようだった。
朝餉も半分ほどしか口にしなかった。
もう、ここまで来た。
ゆっくり進み、1日延ばしたところで楽かと言えばそうでもない。
政宗は悩む。
表には出さないが、自分だって結構疲れている。
同じ行程でも、男所帯の旅や、単独ならそれほど疲れはしない。
悩みもせず、好き勝手に旅をして来た今までとは違った。
瑠璃に、思ったより気を使っていたのだ。
ひと息ついて、政宗は覇気のない瑠璃に問う。
「瑠璃、今日中に安土に着くか、
亀の歩みで明日、着くか、どっちにする?」
この問いが政宗なりの気遣いだった。
「お前が決めろ」
壁にもたれ座っている瑠璃が
「今日中に着くのが良いです」
気力なく笑いながら答える、
そのくせ
「今日中に旅を終える為に昨日、あんなに無理をして駆けたんですから、
絶対、今日中に着いてみせます」
と息巻く。