第12章 睦月の旅路(海路にて安土へ)
「なんだよ、やけに嬉しそうだな」
「だって、布団で寝れるんですよっ。
船の床はもう懲り懲りです」
政宗はプッと吹き出す。
「はっはは、そりゃそうだ。瑠璃は
ずーっと板の上でゴロゴロしてたもんな」
「それから、お風呂にも入れるし〜」
と鼻歌交じりに、上機嫌で軽快に階段を上がって行く。
その姿が可愛らしい。
「そう言やぁ、瑠璃。さっき言ってた、
プレ…なんとかってなんだ?」
思い出して政宗が尋ねると、振り向いた瑠璃が
「大切な人から贈られる、心のこもった贈り物のことです」
と笑顔で答え、階段を一段登ってまた振り向き
「あっ、最上級の、贈り物です」
やっぱり嬉しそうに言い直した。
瑠璃は現代で、誰かと街を回り、買い物を楽しんだ事がほとんどなかった。
だから、大切な人からのプレゼントも初めてだった。
そう言う意味でも、最上級の贈り物なのだ。
(抱いて眠りたいくらいっ)
嬉しくて嬉しくてたまらなかった。