第12章 睦月の旅路(海路にて安土へ)
品物を持っていない方の腕で、瑠璃を抱きしめる。
「お前のそんな笑顔が見れるなら、高くもない買い物だったな」
クルッと振り回して降ろす。
「安土の者に自慢するならこれくらいの物は必要だ」
「んー。これに負けないよう、頑張ります」
「はっはっはは、何を頑張るんだよお前は。
コイツに似合う着物も俺が選んでやるから、
大船に乗ってろ」
任せとけ と言わんばかりに自信満々の政宗。
「もう、船は嫌ですよー。
当分は乗りませーん」
笑い合うと、政宗は瑠璃の手を掴んで歩き出す。
「もう少し、見て回ろうぜ」
瑠璃は政宗に手を取られ、2人して市を楽しんだ後、馬を2頭購入して宿を取った。
「明日からまた馬での旅だ。もう少し頑張れよ」
「政宗も疲れてるでしょう。早く休みましょう」
ニコニコと瑠璃が言う。