第66章 未来姫和歌集
*〈愛し君 果てまで届く 花の香に
乗せて送るは 恋心〉
『銀木犀の香りを感じたら、私のアナタへの恋心を思い出して欲しい。世界の果てにいても想ってる…好き…』
銀木犀の香りに姫が恋心と戦国時代に残る決意を話した日。
*『水鳥を 北に袖振り 幾日も
初東風(はつこち)うけて 水面凍解(みなもいゆ)らむ 』姫
北の青葉城に手を振り出発して、どれくらいか…
凍っていた水面も溶けて春がそこまで来てる。
*『駒(馬)とめて 見送り行けば 冬木立ち
初東風吹いて 君と見やらふ』政宗
姫と政宗が青葉城から旅をして来た最終日。
振り返って見れば、辛くも楽しい旅だった。
*『君想ひ 打ち極めれば 灼耀と
思ひ起こつる 業苦の日々』
刀工になる為旅立って行く源蔵に姫が贈った歌。
*『沈丁花 春訪れて 懐かしく
蘇るのは 幼き愛情』 姫
幼い頃感じた兄からの愛情を思い出しながら、今は政宗からの愛情を感じる姫。
*『漂うは 愛しき人の 甘い香
泣いて乱れる 春 沈丁花』政宗
姫を抱きながら思う政宗の歌。
酔いそうな程の沈丁花の甘く濃厚な香と姫の艶香とを掛けている。