第63章 (終章)笑桜舞う春
(アレが本来の瑠璃だ。
春の朝日のように、輝いて…
もう…俺とは似ていない…)
家康は、闇を抜けたように見える瑠璃から目を背けた。
「家康、幼少期に作られた人格はそうそう変えられない。
アレもまた、変わったように見えて、
それ程変わってはない。
少し、良くなったくらいだ。
けれど、何処かに転機はある」
いつの間にやって来たのか、信長が横に腰を下ろして盃を差し出している。
「闇があるから光は輝き明るいのだ。
闇を闇にするか、光を見出す闇にするかは、
己次第だと、俺は思う」
家康は信長の盃を満たしながら、
2人の姫の笑顔を見ていた。