第11章 小田原停泊(R18)
しばらく、葛湯をフウフウして、
ようやく飲める温度になって、改めて口をつけると、
「ゔぇぇーーーん。
何この渋苦い葛湯〜
全然、甘くなーいっ」
政宗は吹き出しそうになるのを堪える。
「甘くない葛湯だってあるだろ〜」
現代、絶瑠璃の時代の葛湯は甘いのだ。
政宗は知らない。
「くさ〜い。苦〜い。美味しくなーい」
えんえん、嘆く瑠璃。
「我慢だ瑠璃。
良薬口に苦し。
身体に良いんだから全部飲めよ」
「分かってますよ〜。
政宗が買ってきてくれたとはいえ……
渋いし、ホントくさ〜い」
もう、熱くはないのに、また湯飲みから顔を背ける。
クククと笑いを堪えながら、瑠璃にされた訳ではないのに、薬屋での仕返しをする。
「身体に良くて高価な薬だと思えば残せないだろ〜」
軽く言ってはいるが、事実、高価だった。