第63章 (終章)笑桜舞う春
「京が悠久に普遍だとは、これ実か嘘か…。
外は広く常に波の如く荒く変化し、
人はそれに取り残されまいと踠(もが)き、
必死に喰らい付いているのです」
瑠璃の淡々とした言葉。
「京は悠々 雅と伝統を重んじ、
それによって息が出来ず住まう者は疲弊する。
気を付けられますよう」
不気味な予言のような言葉を最後にして、
瑠璃は静かに丁寧に頭を下げると、
そのままの姿勢で、流れるように後退した。
それにしたがって、信長、光秀、側近武将達が全員、頭を下げた。
(美弥、アンタも頭下げて)
ポカンと見ていた美弥も家康にせっつかれ、慌てて頭を下げた。
揃って礼をし、退室していった武士達を、
天皇はじめ、公家達は青ざめたような、
怒ったような顔で暫く見ていた。