第63章 (終章)笑桜舞う春
内裏では公家側からの提案で、
広い広間では、公家、武家に分かれての
貝合わせ が催された。
いつもなら、面倒だ と付き合わない信長だが、今日は盃片手に参加していた。
信長の隣りには、姿勢良く構えた瑠璃。
深緋(こきあけ)生地に鮮やかな濃紺混り銀糸で青龍が描かれた大波柄の打掛。
中は控えめに珊瑚色の散し小菊。
しかし、帯は豪華に吉祥紋の刺繍。
この日の為、少々強めに描かれた紋様。
それに負けることない瑠璃の麗凛美を見せ付ける。
頭脳明晰で優美な女を持っている事。
そして、
信長の仕立てたこの日の瑠璃の装いは、金の無い公家方への嫌味。
※深緋色…濃く暗めの緋色。