第62章 同刻同進
振り仰いで、源蔵が素っ頓狂な声をあげた。
「兄さん⁉︎
一緒に来てたのか?」
源蔵は自分が政宗に、怯えてるのか、
喜んでるのか嫌がっているのかは解らないが、
複雑ながらも嬉しく思っているのだと、思った。
「あったりまえだろっ。
俺がコイツを独りで出歩かせたりはしない。
お前の師匠に会ってたんだよ。
もっと、厳しく躾けてもらう約束つけてきたぜ」
「え"ぇ"〜ーー!」
嘆きの雄叫びが響いた。
「源蔵、
泣いて歯軋りして、悔しい思い辛い思いして
お前の思い描く刀を鍛え出せ。
それは、刀と共にお前が輝く術だ。
何年かかっても構わねぇ。
必ず、俺の元に戻って来い」
政宗は期待と確信の眼差しを真っ直ぐ源蔵に向けて、ニッカリ笑って見せた。
「……」
まだなんとも不安げな源蔵の顔。