第11章 小田原停泊(R18)
瑠璃は受け取り蓋を開け匂いを嗅ぐ。
「ん?」
(アーモンド?バニラかな?)
首を傾げる。
「油だ」
瑠璃が寝ている間にもう一度町へ出掛けた政宗は、薬屋の主人に尋ね油屋へ行ったのだ。
そこは一般の油から、北条氏へ献上する油まで扱っていると言う、大きな油屋だった。
「杏油と椿油を混ぜた物だ、顔に塗れ。
風に当ってカッサカサだぞ。っと手もな」
「杏油…それでほんのりアーモンドの香りがしたんですね〜。
ありがとう。保湿しますね!」
笑顔が輝く。
早速、掌に出して伸ばし始める。
「髪の毛もパサパサしてるから塗ろーっと。
唇も口元も酷いかなー」
と唇も油で保湿する。
乙女か童女全開の素の瑠璃を見ながら、
政宗は苦笑いを溢す。
「心配して損したなー」
「え?」
「何でもねーよ」
「…政宗にも塗ってあげますねっ」
チョット意地悪そうな表情で政宗に更に近づいた瑠璃は、油のついた手で政宗の頬を挟む。
「おっ、わっ!何すんだよっ」
政宗が顔を背ける。