第11章 小田原停泊(R18)
それからニ刻(ふたこく)過ぎて、
ようやく瑠璃は重い瞼を上げた。
寝返りをうって部屋を見回す。
火鉢の側に居る政宗を見つける。
「気分はどうだ?」
「目が覚めて政宗が居たらか、気分良いです」
消え入りそうに笑う。
「俺が居たからか?
よく寝たからだろう」
「どっちも?」
ふふふふ と笑う。
先程よりは顔色も良く、熱も無いようで政宗は安心する。
もぞもぞと布団から出てきて、ズリズリと這うように火鉢の側に寄って来る。
「そんな行儀の悪い瑠璃、初めて見た」
ありのままを見せてくれる事が、政宗は嬉しかった。
「行儀良くなんて、今は無理です…
疲れ過ぎて歩くのもイヤ」
横に並んで座った瑠璃の身体が冷えないよう羽織を掛けてやる。
「ありがとうございます」
はにかんで政宗を見る。
「町はどうでしたか?」
「もうすぐ新年だから、賑わってたぞ。
土産だ」
政宗は3寸(約10㎝)ほどの瓶を懐から差し出す。