第11章 小田原停泊(R18)
「それじゃぁ、頼む。2人だ」
「分かった。明日のこの時間にここで待ってな」
ニコニコと政宗を見る男。
「ところで、この町に美味い甘味はあるか?」
「旅して来たんだろ?
乾物屋の並びにお茶や生薬を置いてる怪しげな薬屋がある。
そこの葛湯が疲れに効くんだ。
行けば調合もしてくれるぞ。
源蔵に聞いて来たって言えよっ」
言って、また明日なと、手を振って行ってしまった。
(怪しげな店、紹介するか?フツー)
可笑しそうに、源蔵の後ろ姿を見送ってから、
聞いた薬屋に向った。
暖簾をくぐると、初老の主人が薬箪笥を背にして座っていた。
主人は政宗の身なりを見定めると頭を下げる。
「これは、立派なお武家様がこの様な薬屋にどういった御用事で」
「そう、かしこまらないでくれ。
北から旅をして来た。
この季節の馬での長旅で体調を崩しそうだ」
それは、瑠璃の事だ。