第57章 新春来風の先
「ほな、猫やカラスがどんなんか、見に行こか」
「私に寄って来たら、叔父様が追い払おて下さるんでしょ。
頼もしいわぁ」
うふふふ
肩にかけたケープを直すフリで顔を逸らした。
無意味な言葉達が湿った風に舞った。
その、不意に吹きつけた風を追って、
振り向いて見た先には、
刺々しい鎧のような葉に守られながら、
白い花を咲かせている柊木が揺れていた。
(家にこんな木があっても鬼だらけやないの)
邪鬼を防ぐと信じられて昔から植えられている柊木。
(邪鬼は人の心が生み出す)
自分だって、それを生み出す中のひとりなんだ と思って瑠璃はこっそり苦笑した。