第57章 新春来風の先
庭へ出て歩いていると、会いたくない人物に出会した。
「瑠璃」
「叔父様、本日はお越しくださりありがとうございます」
一対一では逃げようがない。
「当たり前やないか、
お零れにあずかる身としては、
本家の行事は出席しなければね」
母と同じような底の無い強かさ。
「まぁ、鳩やスズメやあるまいし、
冗談キツイですわぁ。
鯛でも釣って帰りはったらよろしいのとちゃいますか?」
笑って見せても笑っていないのはお互い様。
「ここで釣り上げてもぉたら、
猫かカラスみたいなヤツもおるさかいなぁ」
冗談ぽく話すが、嫌味やら妬みやらの牽制、応酬合戦だ。
これが親族間の普通の会話だ。
殺伐として嫌になる。
気難しい来賓と話をする方が断然、気が楽だ。